アフリカで値切る

アフリカ2日めの朝。朝食の後、アンボセリ国立公園へ向かう。車は9人乗りのワゴン車で、通常ツアー客は1台に7人程乗るのだが、今回は4人だけなのでゆったりと座れる。写真を撮るのにも都合が良い。

運転手さんはワンギさんといい、この道20年の大ベテランだそうだ。このワンギさん、無口なおじさんなのだが、実は素晴らしい能力の持ち主であることが後日明らかになるのである。そして4時間の移動が始まった。

いかにも「アフリカ」 という道をひたすら走る。

「トイレ休憩です。お土産屋さんもあります。でもここはちょっと高いですね。」

2時間程走ったところで車が止まりジョージさんがこう言った。とても正直である。中に入ってみると意外に広い売場で種類も豊富だ。一廻りして気に入ったものを合計してみると3700ケニアシリング程になる。この当時は1ケニヤシリングが約2円なので、7400円ということだ。

土産物屋は高いとは聞いていたが、いくらなんでも長さ10cmのお面と小さなロウケツ染めでそれは法外だ。そこで値切りの練習をすることにした。1500シリング以下で買うと決めて、どのくらい値切れるのか試してみる。

まず、1/10から始めた。さすがにこれは相手にされず、その上3600と言ってきた。随分と値下げ幅が小さい。これは長期戦になるぞ、と思ったら案の定平行線である。10分たってもお互いに主張する金額の開きが2000シリング以上ある。

出発の時間が迫ったので、

「1200シリング、これが限度」

と言って立去ろうとすると

「1500」

と折れてきた。今までは3100シリング、もうまけられないと言っていたのに、いきなり半額以下になってしまった。ならば

「1300でどうだ。」

と最後通告。結果は私の勝ちである。ほぼ1/3で購入したことになる。意気揚々と車に乗り込み戦果をジョージさんに報告すると、言いにくそうに

「どうせ判ることだから言います。それでもまだ高いです。彼らは充分儲かっ てます。」

と教えてくれた。あとで目の当たりにするのだが、土産物屋ではナイロビ市内の10倍から20倍 の値段がつけられているのだ。はい、私の完敗です。

車は順調に走り、アンボセリに到着。国立公園ゲートで入園手続きをしているときに、蜃気楼 が見えた。この季節には頻繁に見られるそうである。

宿泊するのは アンボセリロッジ。 とても清潔で快適なのは、このあと泊まるロッジ全てに共通していた。部屋に荷物をおろし、ちょっと遅めの昼食をとって2時間程一休み。その後いよいよゲームドライブが始まる。

夕方4時から初めてのゲームドライブ開始。車で公園内を移動して動物たちを見つけるのだが、公園といっても神奈川県程の広さがある。お目当ての動物に会えるかどうかはドライバーの腕しだいなのだ。

とはいっても初めての体験なのでそりゃもう、大興奮である。シマウマだといっては驚き、キリンだと叫んではおおはしゃぎ。あっと言う間の2時間であった。

午後6時過ぎにロッジへ戻り夕食。明日は朝6時からゲームドライブである。

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