日本人のサバンナはマサイ・マラ

いよいよこの旅のハイライト、 マサイ・マラ国立保護区へ向かう。ここは動物達が最もたくさん見られるところで、いわゆるBIG5(ゾウ・ライオン・ヒョウ・チーター・サイ)に運がよければ全て出会えるところ。

ナクル湖からマサイ・マラまでは7時間程の行程。しかし、マサイ・マラへ向かう道はとにかくひどい。舗装はされているのだが、道のいたる所に大穴が空いており、直進できないのだ。大きな穴を避けても、他のタイヤのどれかひとつは必ず別の穴に落ちるほどで、スピードなんて出せそうもない。

ところが、われらがワンギさんはさすがに一味違う。なんとこの道で他のサファリカーはいうに及ばず、でかいトラックまで追い越しをかけてしまうのである。人より早く進むというのは、なかなか気持ち良いものだが、我々のサスペンション(お尻)はボロボロになってしまった。

最後のトイレ休憩を済ませてからは、アスファルトも消えた。しかしこの方が快適である。かなり埃っぽいが少なくとも穴は空いていない。お尻にとっては、優しい道である。

この埃はどこでもかなりすさまじく、移動するときは、どんなにスーツケースを固く閉じていようと、ロッジについて開けてみると、かなりの量の埃が入り込んでいる。しかし私も妻も、アフリカ到着2日目ですでに気にしなくなっていた。同行の新婚ご夫婦も同様である。アフリカでは、そんなことは本当になんでもなくなってしまうのだ。

マサイ・マラに到着し、遅めの昼食をとり、夕方のゲームドライブまでロッジ内をうろつくことにした。ロッジはフィグツリーロッジ。ここにはテントロッジもあり、予算に合わせて泊まることができる。

テントといっても中にはベッドが2つ、シャワーもトイレもついている。私が、こっちに泊りたかったなぁと言うと、妻もこの方が面白そうだという。ならば取り替えてもらおうかと提案すると、面白そうだというのと実際に泊まるのとは全く違う、と却下されてしまった。うーむ、やっぱり 女性はわからん

このロッジは、小さな川を吊り橋で渡ったところに建っているのだが、その川にかわいらしいワニがいた。20分程見ていたがピクリとも動かない。根負けしてその場を立ち去り、帰り際にもう一度見たらいなかった。しまった、もっと粘ればよかった。アフリカではポレポレだと判っていたのに・・・

そんなこんなで時間をつぶし、いよいよマサイ・マラ最初のゲームドライブ。ここは今までの国立公園と違い、動物保護区なので比較的規制が緩やかで、道ではないところも平気で走ってしまう。そのため動物にかなり接近できるのだが、草地が衰えてしまうとの危惧もあり、複雑な心境である。

マサイ・マラの風景は、日本人がいわゆるサバンナと聞いてイメージする光景そのものである。果てしなく続く草原に沈む真っ赤な太陽、その前をシルエットで横切るキリン・・・そのままが見られるのだ。いや、嘘じゃない、嘘じゃない、ほんとだって。

まずはインパラ、グラントガゼル・シマウマ・キリンといった草食動物とたくさん出会う。まるで牧場のようだ。

BIG5の内、まだ会っていないのはライオン・ヒョウ・チーターである。果たして・・・と思っていたら、いきなりライオン母子の群れと遭遇。日だまりで日光浴の最中のようで、5頭の母ライオンは皆まどろんでいて、その廻りをたくさんの子ライオンが転げるように遊んでいる。

他のサファリカーも続々集まってくるが、全く気にかけず昼寝を続けている。彼女たちにとってサファリカーは、絶対に襲わない変な動物という認識なのだろう。

どうやら雄はいないようだ。それにまだチーターにも会っていない。その後あちこち探したが、結局この日はどちらとも会えずじまいだった。しかし、こちらにはワンギさんがいる。マサイ・マラには2泊、あと3回のゲームドライブが残されている。必ずや期待に添ってくれることであろう。

我々のワンギさんに対する信頼はシロサイ発見以来、絶大なものとなっていた 。

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