覚悟はできてました

家に帰り着いたゴエモンは、やっと落ち着いたという様子で彼の定位置であるソファの上に寝転んだ。すかざずピーターがやってきてゴエモンを一所懸命舐めてやっている。

この2匹は同時期に我が家へやって来たので、14年の付き合いだ。先に去勢したピーターをメスと間違えてゴエモンが追い掛け回したり、餌を食べるのが遅いピーターはいつもゴエモンに横取りされてしまったりと、まぁごく普通の猫としての生活を送っていたはずである。

くつろぐ2匹を見ながら、両親にゴエモンの病気を告げた。私も私の両親も、昔から動物の死には何度も立ち会ってきた。先代のピーター、シェパードのマルとローリー、セキセイインコのモンジロウ等々。私の手の中で息を引き取った奴もいる。

決して死に慣れた訳ではないが、飼い始めたときから覚悟はできている。両親も私達の決定に賛成してくれた。ゴエモンは家族が看取ると決めたのだ。

妻は動物を飼うのはこの2匹が初めてなので不安を隠せないようだが、やはり覚悟を決めたようだ。

それからのゴエモンは、痛み止めが効いたのか、再び餌をねだるようになった。病気が嘘のような食欲である。

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