97年2月後半

ゴエモンの化膿が進んだようだ。あくびをするのも中途半端な口の開け方しかできない。当然、餌を食べるのもへたくそになってしまった。以前はピーターの数倍は素早くきれいにたいらげ、もたもたしているピーターの餌まで分捕ろうかという勢いがあったのに、いまやその面影すらない。

大体ピーターは餌の食べ方が異様に下手で、好物のチーズなどを鼻先に持っていっても、一旦口に入れて咀嚼したかと思うと、ポロリとこぼしてしまう。そんなことを数回繰り返してやっと飲み込める、といったとろくさい奴なのだ。野良猫だったら、まず真っ先に淘汰されているだろう。

対してゴエモンは食い物への執着心に正比例して、食べるのがうまかった。ドライフードなどは、噛まずに飲み込んでいたのではないだろうか。食い意地の権化である。

そのゴエモンがピーターに遅れをとるようになってしまった。口が思うように開けられないのだろう、餌が自分の鼻先に押されどんどん前へ移動してしまう。平らな皿で与える様にしたのだが、それでも隅に残った餌は、舌の力が無くなってしまったせいか、舐め取ることができず、食べられない。仕方なくつきっきりとなり、隅に集まった餌を中央へ寄せてやる。あのゴエモンがこんなに手のかかる猫になってしまうとは。

出血も相変わらずだが、日中は寝てばかりいるので部屋への被害は思ったより少ない。朝夕の食事時には餌を要求して歩き回るので、床・壁・家具へ血が飛び散るが、これは予定の内だ。マイペットと雑巾で素早く拭き取り無かったことにする。

ゴエモンの症状で気になることがある。ゴエモンは現在、缶詰の餌しか与えていないのに、水をやたらと飲むようになったのだ。ドライフード中心の餌ならば水はたっぷりとやらねばならないが、缶詰は餌自体に水分が含まれているので、それほど水は必要としないはずなのだ。それが餌のあとは勿論、日中も頻繁に水を飲んでいる。

腎臓機能が低下するとよく水を飲む様になるらしいが、ひょっとすると口がうまく閉まらないため、舌が出っぱなしになっているので、それで口中が乾燥するのかもしれない。いずれにしても、血液検査の必要があるようだ。近い内に医者へ連れていかねば。因みに血液検査1回6000円です。とほほ。

2匹を風呂に入れた。これ、ピーターの方が大変で、なにしろ水が大嫌いなのだ。私が抱き上げて風呂場へ連れていったのだが、途中で気づいたらしく、「ばーお。ばーお。」ともの凄い声を上げ始めた。

二人がかりで押さえつけ、シャワーでお湯をかけてシャンプー開始。その間絶え間なく「ばーお。ばーお。」と鳴き続ける。近所の人が聞いたら

「○○さんとこの今日の夕食、猫鍋かしら。」

などと誤解を生みそうな声である。何カ所か引っ掻かれつつシャンプー終了。しかしドライヤーも大嫌いなため、タオルで拭いてあとは自然乾燥である。部屋をいつもより暖かくしてやるのは、私が飼い主バカのため。

続いてゴエモンである。こいつも風呂はそれほど好きではないが、ピーターよりは楽に洗うことができる。まして今は病気のため、抵抗らしい抵抗もなくシャンプーできた。しかし、毛を濡らしてみるとガリガリに痩せてしまったのがよく判り、あわれである。食べても食べても栄養はみな癌に持っていかれてしまうのだろう。ごつごつした手触りが悲しかった。

ゴエモンは、自然乾燥すると自分で舐めてまたもスプラッタ猫になってしまうので、押さえつけてドライヤーで乾かした。こいつもドライヤーは嫌いなのだが仕方がない。20分程でふんわりと乾いた。シャンプーのいい匂いがする。まぁ、3日と保たないだろうが。

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