まじめにマヤ遺跡見学

カンクンで過ごす最終日は、いよいよ待望のマヤ遺跡「チチェン・イツァ」へのツアーである。本当ならば日本語ガイドの筈が、どこの手違いか知らないが英語ガイドになってしまった。まぁ、行けるだけで良しとしよう。なんだか、この旅行はこんなのばかりだなぁ。無理ないか、バカ旅だもんなぁ。

大型バスが参加客を拾いながら各ホテルを回る。今日は無事拾われた。よかったよかった。迎えにきたガイドさんが、私がビデオカメラを持っているのに気づき、

「遺跡に入るときは服でカメラを隠せ。さもないと金を取られる。」

と教えてくれた。ビデオカメラには別途料金がかかるのだそうだ。でもボディチェックはしないから隠していけばOKだとのこと。おお、貴重な情報をありがとう。私は日本のたばこを彼に差し上げた。

バスはエアコン完備の観光バスで、やや古いが中々快適だ。遺跡まで片道約3時間の旅となる。乗っているのは殆どがアメリカ人とメキシコ人のようだ。日本人は我々だけである。そういえばこの旅行で出会った日本人は、昨日の商社マンご夫婦だけであった。

バスは順調に走り、チチェン・イツァに到着。外へ出るとかなりの暑さである。日差しが強い上に湿度が高いようだ。早くも汗ばんでしまう。

ガイドに言われたとおりビデオカメラを隠してゲートを通過するが、そこには誰もいなかった。たまたまなのか、これが通常なのか判断できなかったが、細かいことは気にしない性格なので構わずドンドン進む。すると、目の前に遺跡群が見えてきた。

あ、写真でみたことある、あれはTVで見たぞ、ああ、あのピラミッドは有名な奴だ、などと早くも興奮気味である。ここで一行はスペイン語ガイド班と英語ガイド班に分かれるが、当然我々は英語ガイド班に混ざることにする。いくらかはましというものだ。ここで白状すると、妻は大学で第2外国語としてスペイン語を学んでいたのだが、その事実はこのバカ旅では、なんの役にも立たなかった。まったく、全然、からっきしである。

ククルカンのピラミッド戦士の神殿ジャガーの神殿球戯場セノテジャガーと鷹の台座ツォンパントリなどをガイドについて見て回る。その説明の理解度は約50%といったところ。つくづくバカだなぁ。

一通りの説明の後、自由行動となる。バカとなんとかの例えどおり、ピラミッドへ登ることにする。この階段は91段あり、かなりの急勾配だ。しかも1段の幅がせまく、登り難い。私はビデオカメラを構え、先に登る妻を後から撮りながら登ったのだが、ファインダー越しに急な階段を登るのは結構しんどく、最後の方の音声は私のあえぎ声しか録音されていないという、今見ると実におまぬけな画像となってしまった。

それでも頂上から見るジャングルは広大で、よくもまあこんなところに都市を作ったなあ、と素直に感動。

下りは上りより恐怖感が伴う分大変で、階段中央に這っている鎖を頼りに降りる女性が多かった。そんな中、妻はホイホイと降りてしまう。見ているこっちがハラハラさせられたが、これもバカの証明であろう。私もビデオを撮りながら駆け下りる。でも、これからマヤ遺跡へ行かれる方は、ピラミッドの一気駆け下りは止められた方が懸命です。私は死ぬかと思いました。

写真でしか見たことがない遺跡に自分の手でベータベタ触れるというのは、言葉にできない感激がある。もちろん私も触りまくった。中には頬ずりしたものまである。妻は怪訝な顔をしていた。早くも私の正体に気づき始めたようである。あぶないあぶない。

一通り見学して昼食をとり、ホテルへの帰路につく。車内は禁煙だったが、ガイドさんがアンケートをとると、ほぼ全員がたばこを吸いたいという。アメリカが禁煙王国なんてデマかしら、と思っていたら、どうやらガイドのお兄さん、自分が吸いたいためにアンケートを取ったようだ。私が差し上げたキャビンマイルドをおいしそうに吸っていた。

バスは無事にホテルへ到着、今日はあまりバカ旅にならなかった、と妻と喜び合う。ホテルのレストランで食事の後、帰国の準備。早くも明日はカンクンとお別れである。

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