やっぱりアフリカはインドから。

「今度の旅行はアフリカへ行きたいなぁ」

などと寝ぼけたことを言っていたのだが、どうやら年明けにはまとまった休暇が取れそうなので思い切って上司に話すと、あっさりと2週間の休みがもらえた。上司の酔いが醒めないうちに、かねて用意の休暇届けを取り出し、その場で書いて渡してしまった。うちの会社もいいかげんだが養老の滝で休暇届けを書いたのは私ぐらいのものだろう。

妻は早くも数社から旅行パンフを取り寄せ、コストパフォーマンスの研究に没頭している。行き先はケニア、行程は11日間と決めたのだが、ケニアへ行くまでのルートが色々あって悩んでいるらしい。

どれどれとパンフを見ると、確かに迷う。ロンドン・ミラノ等のヨーロッパ経由、カラチ経由、モスクワ経由等、バラエティに富んでいる。

ヨーロッパ経由は黄熱病の予防注射もいらないし航空会社も良いのだが、やはりツアー料金が高い。モスクワ経由などは「荷物がなくなろうと、飛行機が飛ばなかろうと責任とらんけん、その分安くしとくかんね」的な雰囲気である。

そんな中で私の目を引いたのがインド経由というツアーであった。実はインドも私にとっては「いつか勝負しなくては」の国であり「必ず行くからそこ動くなよ」の国であったのだ。

「これだこれだ、やはりケニアにはインドから行かねばカレーの本当の味はわからん」等と既に錯乱しつつ妻に申し渡した。

「インド経由に決定する。素早く申込みその他の手続きをするように。」

妻はインドと聞いてやや後ずさったようであったが私は気にもとめなかった。今思えば、あの後ずさりをもう少し真剣に考慮していれば良かったのだが、後の祭りである。

やはりインドはあなどれないと判明するのは旅行が始まる直前であったのだ。時に1995年1月のことである。

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