確かにルゴールってまずいよなぁ

今まで2匹の餌はドライフード中心で、缶詰のキャットフードはたまに与える程度だったのだが、ゴエモンの咀嚼力が落ちているので、こいつには缶詰を与えることにした。

ピーターには、山ほど買い置きのあるドライフードを始末してもらわねばならないので、メニューに変更はなし。

この2匹の一番の好物はあろうことか、刺身のつまである。まぐろの刺身とつまを並べておくと、つまばかり食べて刺身には見向きもしない。一体どういったことが原因でこうなってしまったのかはもはや不明だが、消化にはいいに違いない。

最初の診察から1週間後、再びゴエモンを病院へ連れていった。今日は血液検査である。先週はバスタオルにくるみショルダーバッグでの搬送だったが、今回は移動用のキャリーバッグでの通院である。近所のペットショップで買ってきたのだ。ゴエモンは我が家でもっとも金のかかる奴となってしまった。仕方ないが。

人間と同じ様な項目の血液検査の結果、内蔵関係はまだ大丈夫ということが判明した。14才の猫としてはすこぶる健康体だそうだ。なにしろゴエモンは晩酌をしないから肝臓が丈夫なのだろう。私とは大違いだ。

今一番問題となっているのは、口の中の炎症で、大きな穴が歯茎に開いており、ここに餌が詰まって化膿しやすくなっているということだ。歯もグラグラしていて、今にも抜けそうである。

かくして毎食後の消毒が義務づけられた。ルゴール液を綿棒に染み込ませ、患部を消毒する。しかし、これはゴエモンがとても嫌がった。それ程痛そうではないのだが、ルゴール液なんてうまいもんではないから、消毒した後に口直しでまた餌を食べてしまうのだ。これでは消毒の意味がない。仕方なく餌を少し減らしてちょうど食べきる量を与えることにした。

猫は自分で食べる量を決めるので、犬みたいにあるだけ食べる、ということはない。自分の好きなときに食べ残した餌を食べるのだが、ゴエモンには1日2食で我慢してもらうことにした。勿論ピーターにもつき合ってもらう。

餌よこせ攻撃が激しくなるのでは、と危惧したが、意外に平気なようで朝晩の食事で満足しているようである。やれうれしや。

癌告知から2ヶ月が過ぎ、年が明け97年を迎えたが、ゴエモンの病状に変化はなかった。このままでいてほしいと私も妻も願っていた。

しかし、やはり病気は進行していたのだった。

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