ワンギさん、ついに本領発揮!

ワンギさん、ついに本領発揮!

翌朝6時ごろ起きて窓から外を見ると、象の家族がまだいた。池の向こう側では、バッファローが水浴びをしている。ああ、本当にアフリカなんだなぁと、今更ながら実感してしまった。屋上からは、ケニア山が奇麗に見える。

今日は朝食後、すぐにナクル湖へ向かうことになっている。ナクル湖はアバーデイアから西に120Km程の距離。例によってワンギさんがビュンビュン飛ばして、スムースに到着。

途中、山の上から湖が見えてきたのだが、湖畔からかなりの部分がピンク色に染まっている。ジョージさんに尋ねると、

「あれがナクル湖です。ピンク色は全部フラミンゴですね」

ひぇー、すっすごい!!しかし最盛期には湖面全部がピンク色になる、ということなのでまたびっくり。これは楽しみである。

ここの宿泊はライオンヒルロッジ。きれいなロッジなのだが、シャワーの水が塩辛い。ナクル湖が塩水性の湖なので妙に納得してしまうが、そういうことなのだろうか。

ナクル湖でのゲームドライブは1回だけなので、気合を入れての出発。まずはピンク色のナクル湖でフラミンゴを見ることに。車を停めて水際まで歩いていくと、そこはフラミンゴの糞の大地であった。ズブズブと足が沈んで行く。あちこちに象の足跡が残っていて、ここまで水を飲みに来るという。塩辛いだろうになぁ。

とにかくフラミンゴは圧巻の量であり、最盛期のナクル湖にもう一度来てみたくなる。まぁ、ここに限ったことではないのだが。

続いてサファリカーで動物達を探しに行く。ここナクル湖にはシロサイが5頭ぐらいいる、とジョージさんは言っているが、手元のガイドブックによると東アフリカでは全滅したと書いてある。いずれにしても出会える確立はほとんど無いに等しいということらしい。一同少し悲しくなる。

足首から下が白いウガンダキリンを見つけて喜んでいると、ワンギさんが急に車を停めた。運転席から右側の方をじーっと眺めている。その内ドアを開けてステップに足をかけ、車から身を乗り出して遠くを見ている。ジョージさんに聞いてもなんだかわからないとのこと。

やがて運転席に戻ると、なにやらジョージさんに話しかけている。するとジョージさんの顔が輝き、

「シロサイです!あの林のむこうにたくさんいるそうです!」

なんと、ワンギさんはシロサイを発見したのだ。言われた方を見ても、我々にはなにも見えない。動物の姿すら判別できず、ただ木が生えているのがみえるだけ。ジョージさんはワンギさんに言われてなにか動物がいるのは判ったようだが、それがシロサイだとは判別できないようだ。

車はUターンをしてワンギさんが示したポイントへ急行する。するとどうだ、シロサイである。それも8頭もいる!たった1度のゲームドライブではまず出会えないと言われていたのに、なんという幸運であろうか。

それにしてもワンギさんの視力はすごい。走っている車から1Kmは離れている林の中のシロサイを見つけるとは。ただの神風ドライバーではなかった。感謝感謝である。

我々の車が一個所に留まっているのを見て、他のサファリカーも続々と砂煙をあげて集まってきた。ケニアでは停まっているサファリカーというのは、その近くに珍しい動物がいる、という合図になるか、故障車かのどちらかなのだ。乗っている人達の笑顔を見て、なにかとても良いことをした気分になってしまった。私は何もしていないのだが。

ジョージさんもとても喜んでくれて

「あなた方はとてもラッキーだ。きっとこの中の誰かが普段とても良いことをしているのだろう」

と言ってくれた。皆口には出さないがそれは自分だと思ったことであろう。それとも私だけだろうか、そんなことを思うのは。

ロッジに戻り塩辛いシャワーで埃を落とし、成田から持参のワイルドターキーで思いがけないラッキーに妻と乾杯した。

さぁ、明日からはいよいよ本命、マサイ・マラである。

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